五爻
需(待つ・養う)
需(Xū)
天の上に水
五爻は、天(空)に水(雲)が集まり、雨が降るのを待つ様子を表しています。これは「待つ」時期を象徴し、危険や必要性はあるものの、まだ行動の時ではありません。適切な時を辛抱強く待ち、自身を鍛え、備えることが求められます。
キーワード
判断(卦辞)
この卦は、正しい心構えで待つことができれば成功を約束します。誠実さと内なる確信が不確実な状況を照らす光となります。待つことは受動的な諦めではなく、積極的で忍耐強い努力です。適切な時が来れば、この内なる力が大きな障害を乗り越える助けとなるでしょう。
象(象意)
雨が降る前は待つしかありません。君子はこの避けられない停滞を有効に活用します。不安になるのではなく、心を落ち着け、養い(食事をし)、明るく前向きな態度を保ちます。これによりエネルギーを温存し、行動の時に備えて力を蓄えます。
解釈と指針
五爻を得た時は、忍耐の時です。目標は見えているものの、障害がありすぐに進めません。無理に押し進めるのは誤りです。立ち止まり、待ち、準備を整えましょう。状況はやがて自然に解決します。
この待機期間を利用して、自分の立場を強化してください。資源を集め、計画を練り、心身を養いましょう。自信と冷静さを保つことが試練です。正しく待つことで、行動の機会が訪れた時に万全の態勢で臨めます。
六爻の解説
初九
一番下の爻 - 陽
「草むらで待つ。常に従うことは吉。咎なし。」
危険や行動の中心からは遠く離れています。状況はまだ直接影響しません。落ち着いて日常を守り、早まった行動は避けましょう。安定を保つことで過ちを防げます。
九二
二番目の爻 - 陽
「砂の上で待つ。噂がある。終わりは吉。」
危険が近づき、潮が砂を覆うように迫っています。不安や批判(噂)が生じるかもしれません。冷静に忍耐し、他人の言葉に動揺しないこと。堅持すれば良い結果が訪れます。
九三
三番目の爻 - 陽
「泥の中で待つと敵が来る。」
危険に近づきすぎて身動きが取れなくなっています。無防備な状態で待つことは攻撃や災難を招きます。この爻は、無策な待機が不幸をもたらす警告です。安全な場所を積極的に探すべきです。
六四
四番目の爻 - 陰
「血の中で待つ。穴から出よ。」
最も危険な位置です。血みどろの争いか深刻な状況にあり、そこから脱出しなければなりません。受動的に待つだけではいけません。困難でも現実を受け入れ、脱出策を見つけることが求められます。深刻な危機への適応を促します。
九五
五番目の爻 - 陽
「肉と酒で待つ。忍耐は吉。」
安全で快適な場所を見つけて待っています。危機は過ぎ去るでしょう。この穏やかな時期を楽しみ、養い、堅実な忍耐を続けてください。安心できる状態で、忍耐が幸運をもたらします。理想的な待ち方です。
上六
一番上の爻 - 陰
「穴に落ちる。三人の招かざる客が来る。彼らを敬えば、最後に吉。」
待つ時期は終わりましたが、予期せぬ困難(穴)に陥ります。しかし、思いがけない助けも訪れます。望まぬ助力でも敬意を持って受け入れましょう。新たな現実に適応し、助けを受け入れることで、悪い状況を好転させられます。
恋愛・人間関係
恋愛においては、五爻は忍耐を勧めます。独身ならば、まだ適切な相手は現れていません。この期間を自己成長に使いましょう。関係に問題がある場合は、無理に解決しようとせず、相手や状況に余裕を持たせてください。穏やかで愛情深い心で待つことが、絆を深めます。
仕事・ビジネス
仕事面では遅れや停滞を示します。プロジェクトが停滞したり、昇進がまだ先だったり、取引が保留中かもしれません。焦らず、この時間を使って仕事を見直し、情報収集や資源の蓄積に努めましょう。準備が整えば、次のチャンスに強い立場で臨めます。今の忍耐は将来の成功への投資です。
健康・ウェルネス
健康面では、回復には時間が必要で急がないことを示します。体は休息と適切な栄養を求めています。過度な治療や無理な運動は避け、自然な治癒力を信じて前向きな気持ちを保ちましょう。
財務・資産運用
財務面では現状維持が求められます。不安から大きな投資や資産の売却を急がないでください。市場や状況が安定・成熟するまで待ちましょう。貯蓄を増やし、現金の準備を整えるのに適した時期です。
自己成長
この卦は、人生で最も重要な技術の一つ「能動的な待機」の術を教えます。不確実な状況において内なる強さ、信頼、忍耐を養うことです。常に動き続ける必要はなく、時には意識的に落ち着いて何もしないことが最善の行動となります。
時期と助言
今は「待つ」べき時です。行動は控え、一旦立ち止まることが必要です。外部の動きから内面の準備へ意識を切り替え、エネルギーを温存し、前向きな心を保ちましょう。適切な時が来るのを落ち着いて待つことが、あなたの強さとなります。