卦 17
随(ずい)
随 (Suí)
雷沢帰妹(らいたくきまい)
この象は、湖の下で雷が鳴り動く様子を表しています。雷は動きと主導を象徴し、湖は喜びをもって順応することを示します。若い卦である湖が、年長の雷に従うという関係は、強い動きに対して喜びをもって従う自然で調和のとれた関係を象徴しています。これは時代の流れに適応し、価値あるリーダーに従うという原理を示しています。
キーワード
彖伝(判断)
正しく「随う」ことは最高の成功をもたらします。これは盲目的な服従ではなく、人や状況に対して意識的かつ柔軟に適応することです。成功して従うためには、価値ある目標やリーダーが必要であり、自身の誠実さを保つこと(「忍耐は益をもたらす」)が求められます。これらの条件が整えば、大きな流れに身を任せることは非難されることなく、強力な行動となります。
象伝(イメージ)
この象は自然のリズムに従うことを示しています。雷が夜になると静まり活動が止まるように、賢者は行動すべき時と休むべき時を知っています。随うことは単に他者に合わせるだけでなく、時間の周期に適応することでもあります。活動と休息の自然な秩序に従うことで、エネルギーを節約し長期的な力を保つのです。
解釈と指針
卦17を得た時は、柔軟に適応することが求められています。良い流れや価値あるリーダー、自然の流れに身を任せる時です。自分の考えに固執すると失敗します。随う力は賢さにあり、何に、誰に従うかを慎重に選ぶ必要があります。目標は高潔で建設的なものでなければなりません。
また、この卦はリーダーシップの知恵も含みます。従うに値するリーダーは「雷」のように明確で決断力があり、一方で「湖」のように従う者の気持ちに敏感でなければなりません。真の影響力は主導と受容の調和です。タイミングや状況の自然な流れに注意を払いましょう。
六爻の解説
初九
一番下の陽爻
「標準が変わりつつある。忍耐は幸運をもたらす。仲間と共に外に出ることは成果をもたらす。」
状況が変動しており、古いルールは通用しません。適応が必要です。普段の範囲外の新しい良い影響と関わることで成功を得られます。視野を広げ、新しい協力関係を求めましょう。
六二
二番目の陰爻
「小さな子に固執すれば、強い者を失う。」
未熟で価値の低い影響に執着しているため、より価値ある成熟したものと繋がれません。両方を得ることはできません。劣ったものを手放し、より良い道を選ぶ自由を得ましょう。
六三
三番目の陰爻
「強い者に従えば、小さな子を失う。随うことで求めるものを得る。忍耐を続けることが吉。」
正しい選択をしています。劣った影響(小さな子)を手放し、正しい強い影響(強い者)に従うことで目標に近づけます。この決断を貫きましょう。
九四
四番目の陽爻
「随うことで成功を得る。忍耐は災いをもたらす。誠実に道を行えば明快となる。咎はない。」
あなたは他者に影響を与える立場にあります。成功しても動機が利己的なら災いを招きます。誠実に全体のために行動することで、真の明快さと無咎を得られます。
九五
五番目の陽爻
「善に誠実。幸運あり。」
随う理想の姿を示します。真に善く高潔なものに従い、純粋で誠実な献身をしています。この真心が揺るぎない幸運をもたらします。
上六
一番上の陰爻
「献身をもって出会い、縛られしっかりと守られる。王は彼を西山に導く。」
随う循環が完成しました。従ったリーダーはあなたの誠実な献身を認め、名誉ある安息の地へと迎え入れます。忠誠は報われ、安定した尊敬の場に確立されます。
恋愛
恋愛においてこの卦は調和のとれた相互作用を示します。喜びをもってパートナーの気持ちや状況に適応し、自分のエネルギーで相手を鼓舞します。共に歩む道を示し、独り身なら新しい出会いに心を開くことを意味します。重要なのは一方的な服従ではなく、相互に柔軟な「随い」です。特に二爻と三爻は、不適切な相手に固執し良い相手を逃すことへの警告です。
仕事・ビジネス
チームプレイヤーとしての時期です。会社のリーダーや市場の流れに従い、戦略を柔軟に変えましょう。リーダーであれば(四爻)、誠実で明確な目標を示し、他者を導くことが成功の鍵です。最も大切なのは柔軟性を持ち、大きな流れに調和することです。
健康
象伝が示すように、体の自然なリズムに従うことで健康が向上します。活動と休息のサイクルに注意し、体が回復を求める時は無理をしないこと。食事や運動も体の声に合わせて調整しましょう。信頼できる専門家の健康プランに従うことも吉です。
財運
財運は市場の流れに従うことで得られます。抵抗せず柔軟に投資戦略を変えましょう。成長している分野に合わせるのは賢明ですが、一時的な流行や不安定なものに惑わされないよう注意が必要です。信頼できる金融専門家の助言に従うことが幸運を呼びます。
自己成長
成長は自分の固い考えを手放すことから始まります。人生の流れに逆らわず、柔軟に対応することを学ぶのです。師に従う、新しい考えに適応する、あるいは現状を受け入れることも含まれます。この柔軟さは弱さではなく、エネルギーを節約し深い知恵へと導く強さです。
時機と助言
今は適応と調和の時です。無理に物事を進めず、流れに身を任せましょう。ただし流れの方向を見極めることが重要です。何に、誰に、どの流れに従うかを慎重に選び、忍耐と誠実さをもって取り組んでください。リーダーであれば、従われるに値する存在であることが求められます。