第17卦 三爻
随(ずい)
九三:係丈夫
爻辞
九三:係丈夫,失小子。隨有求得,利居貞。
成熟した男性に縛られ、未熟な者を手放す。従うことで求めるものを得る。正しく堅実にいることが吉となる。
解説曰く:「係丈夫」とは、下位を捨てる意志を示す。
解釈
この爻は、重要な選択と方向転換の時を示しています。誰に、何に従うかを自覚的に決める岐路に立っています。「丈夫」とは知恵や経験、高い志、長期的で価値ある目標を象徴します。一方、「小子」は未熟さや些細な悩み、短期的な快楽、悪習慣、表面的な影響を表します。この爻は明確に告げています。大きなものを得るには、小さなものを手放さなければならないと。両方を同時に保持することはできません。誠実で本質的な道(丈夫)を選ぶことで、成長を妨げる過去の執着やあり方(小子)を断ち切る必要があります。これは前向きで力強い行為です。選択は他者任せではなく、自らの意志によるものです(「下位を捨てる意志」)。成功は約束されています(「求めるものを得る」)が、新たな高い道に忠実であり続けることが条件です(「正しく堅実にいることが吉」)。これは一度きりの決断ではなく、継続的なコミットメントを意味します。
行動への指針
今こそ「レベルアップ」の時です。現在従っている人や考え方、習慣を見直しましょう。あなたの人生における「丈夫」とは、賢明な師、挑戦的な長期プロジェクト、核心となる信念、自己成長の道かもしれません。同時に「小子」とは、気を散らす友人、行き詰まった仕事、先延ばしの癖、即時の快楽への欲求などです。後者を断ち切り、前者をしっかりと受け入れる決断を下す必要があります。最初は損失や犠牲に感じるかもしれませんが、進歩のために不可欠な一歩です。表面的なものより本質を選びましょう。一度決めたら迷わず、後悔せずに前進し続けてください。そうすれば目標を達成できるでしょう。
恋愛・人間関係において
この爻は恋愛における大きな転換点を示します。表面的で波乱の多い関係よりも、成熟し安定した意味のある繋がりを選ぶ時です。「丈夫」は感情的に安定し、責任感があり、長期的な価値観を共有できるパートナーを表します。「小子」は気軽な関係、忘れられない元恋人、嫉妬や駆け引きなど未熟なパターンを指します。独身の方は、自分の基準を明確にし、真剣で実質的な関係を求め、軽薄な相手への執着を手放すことが勧められます。交際中の方は、関係の成長と成熟にコミットし、過去の争いや子供じみた態度を捨てる時です。成熟した愛の道を選ぶことで、望む充足感が得られるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
仕事面では、価値ある長期的なビジョンに自分を合わせることが求められています。賢明な師や倫理観の高い企業、真の成長をもたらすキャリアパスを選びましょう。これが「丈夫」です。同時に「小子」を手放すとは、居心地は良いが停滞した職場を離れ、職場の噂話や小さな権力争いから距離を置き、短期的な報酬にとらわれないことを意味します。ジュニアの立場や考え方から脱却し、より責任ある役割に進む時かもしれません。この戦略的な転換は大きな利益をもたらし、職業的な目標達成へと導きます。堅実で誠実な基盤を築くことに注力しましょう。
金銭面において
この爻は、より成熟し規律ある財務戦略への転換を強く勧めています。「丈夫」は堅実で長期的な投資、綿密な予算計画、信頼できるファイナンシャルアドバイザーの助言を象徴します。これは財務の慎重さと安定の道です。一方「小子」は、一攫千金を狙う投機的な流行、衝動的な支出、収入以上の浪費を表します。真の経済的安定を得るには、これらのリスクの高い無計画な習慣を意識的に手放す必要があります。即時の満足を犠牲にしても、堅実な財務計画を立て、それを守り抜く時です。財務の知恵と忍耐をもって歩めば、望む富と安心を築けるでしょう。