第17卦 初爻
随(ずい)
初九:官有渝
爻辞
初九:官有渝,貞吉。出門交有功。
初九:官の基準が変わる。正しく貫けば吉。外に出て人と交われば功を得る。
解説:「官有渝」とは、正しい基準に従うことが吉をもたらすという意味。「出門交有功」とは、外に出て人と交流することで道を誤らず、功績を得ることを示す。
解釈
この爻は「随」の卦の最初の段階であり、重要な転換点を示しています。「官」とは、従うべき規範や指導者、原則、あるいは現状を指します。「有渝」はその基盤が変わりつつあることを意味し、従来のやり方が通用しなくなっていることを示唆します。不安を感じるかもしれませんが、過去に固執するのではなく、「貞」、すなわち本質的に正しいことを貫くことが吉への道です。判断力を働かせて柔軟に対応することが求められます。最後に「出門交有功」とあるように、変化を孤立して乗り切るのではなく、新しい環境に積極的に関わり、新たな仲間や情報を得て視野を広げることが成功への鍵となります。
行動への指針
現在の状況は根本的に変わりつつあります。かつて頼りにしていた指導者やルール、指針が変化しています。この変化に抵抗したり、過去に固執したりせず、柔軟に適応することが求められます。自分の信念は守りつつも、新しい考え方や方法を受け入れる姿勢が必要です。最も重要なのは、安心できる範囲から一歩踏み出すこと。人脈を広げ、新しいグループに参加し、異なる意見を聞き、新たな関係を築くことが成功への道です。孤立は停滞を招き、つながりが成果を生みます。
恋愛・人間関係において
この爻は、恋愛関係においても古い「ルール」や関係性のパターンが変わりつつあることを示しています。どちらかの目標や状況が変わり、新たな現実に直面しているかもしれません。過去のままに固執すると問題が生じます。愛情や誠実さ(貞)は保ちつつ、役割や期待を柔軟に変えていくことが大切です。カップルは一緒に外に出て新しい友人や活動を取り入れ、マンネリを打破しましょう。独身の方は、これまでの「タイプ」にこだわらず、積極的に外に出て異なる人々と交流することが恋愛成功の鍵となります。
仕事・ビジネスにおいて
職場環境に大きな変化が訪れています。新しい上司の登場、会社の合併、経営方針の転換、業界の変化などが考えられます。これまでの働き方は通用しなくなり、適応が必要です。職業倫理や品質へのこだわり(貞吉)は守りつつ、新しい方法や役割、新たなリーダーシップを受け入れましょう。「出門交有功」の教えの通り、チームの枠を超えた人脈作り、業界イベントへの参加、メンターとの対話、新スキルの習得がキャリアアップの鍵となります。閉じこもるのではなく、積極的に外の世界とつながることが成功への道です。
金銭・財務において
現在の資金運用や収入源に変化が生じています。市場環境や規制、投資の基本方針が以前ほど信頼できなくなっている可能性があります。見直しの時期です。過度な借入を避けるなど基本的な財務管理の原則は守りつつ、具体的な戦略は柔軟に変えていく必要があります。受け身にならず、「出門交有功」の精神で新たな金融アドバイスを求め、異なる投資先を調査し、新しい収入源を模索しましょう。多様化と信頼できる情報収集が、この変化を乗り切り財務的成功を掴む鍵となります。