第7卦 上六爻
師(軍隊)
上六:大君有命
爻辞
上六:大君有命,開國承家,小人勿用。
大いなる君主が命を下し、国を興し家を継ぐ。小人物は用いてはならない。
解説曰く:大君は功績に応じて正しく命令を下す。小人物を用いれば、必ず国に乱れをもたらす。
解釈
この上六爻は、戦いの成功とその完結を示しています。争いは終わり、目的は達成されました。ここで「大君」とは最高の正当な権威を象徴し、勝利を正式に確立します。「国を興し家を継ぐ」とは、新たな安定した秩序を築くことの比喩であり、功績に応じた栄誉の授与や権限の委譲、勝利の成果の分配を意味します。勝利は終わりではなく、平和と統治の新時代の礎となるのです。
しかし、最後に厳しい警告が添えられています。「小人勿用」とは、成功の瞬間に群がる機会主義者やおべっか使い、品性の低い者たちを排除せよという意味です。彼らに権力を与えれば、将来の腐敗や不和、崩壊の種をまくことになります。真の勝利は単に戦いに勝つことだけでなく、その後の平和を賢明かつ公正に築くことにあります。真の功績を正当に評価し、自己中心的な者を意識的に排除することが、新しい秩序を守る鍵となるのです。
行動への指針
あなたは大きな努力や争いの頂点に達しました。成功は目前か、すでに手にしています。今こそ、成果を固め未来を築く時です。たとえ自分一人のリーダーであっても、賢明で洞察力ある指導者であることが求められます。これまでの過程を振り返り、真に貢献した人や要素を見極めましょう。忠誠心、技量、誠実さを持つ者を正当に評価し、苦労の後に現れた者や表面的な言葉巧みな者には慎重に対応してください。今の判断が、この勝利を永続的な安定に繋げるか、一時的な栄光で終わるかを決めます。妥協せず、真実と原則を守りましょう。
恋愛・人間関係において
関係における困難や不安定な時期が成功裏に終わろうとしています。あなたとパートナーは共に大きな試練を乗り越えました。今は未来を築く時期です。共に歩む生活の「国を興す」ように、長期的な約束を交わしたり、将来の方向性を定めたり、より安定し調和の取れた関係性を築くことを意味します。「小人勿用」の警告は特に重要で、外部からの悪影響—噂好きな友人や干渉する親族、トラブルを起こそうとする者—から関係を守るよう促しています。また、嫉妬や損得勘定、自己中心的な態度といった「小さな心」が、せっかく築いた平和を乱さないよう注意が必要です。信頼と尊敬を基盤に未来を築きましょう。
仕事・ビジネスにおいて
大きなプロジェクトの成功、難しい交渉の勝利、重要な目標の達成を果たしました。あなたの権威と評価は最高潮にあります。「大君」とは経営層やリーダー自身を指し、今こそ変革を実行し、昇進や役割の割り当てを行う時です。ここで重要なのは、努力と忠誠を示したチームメンバーを正当に評価することです。苦労の間に姿を見せなかったオフィスの策略家やおべっか使いを昇進させる誘惑に負けてはいけません。そうした「小人」に重要な責任を任せることは、真の才能を失望させ、将来の失敗の種をまくことになります。実績に基づくチーム作りが長期的な成功を保証します。
金銭面において
投資の成功、事業の売却、相続などで大きな財務的勝利を手にしました。財を得るための苦労は終わり、これからは管理の段階です。「国を興し家を継ぐ」とは、将来のための堅実な財務基盤を築くことを意味します。信託の設立、多様な投資ポートフォリオの構築、家族の将来の保障などが含まれます。ここでの警告は明確で厳しいものです。「小人」とは、信用できない金融アドバイザー、機会主義的な親族、または一攫千金を狙う詐欺師を指します。十分な調査を行い、実績と誠実さが証明された者にのみ資産を託しましょう。軽率な判断は、せっかく得た安定を台無しにする恐れがあります。