六十一番卦 二爻
中孚(内なる誠実)
九二:鳴鶴在陰
爻辞
九二:鳴鶴在陰,其子和之。我有好爵,吾與爾靡之。
九二爻:陰のもとで鳴く鶴。その子は応えて和する。良い杯を持ち、共に酌み交わそう。
解説曰く:その子は応えて和するとは、中心からの真心の響きである。
解釈
この力強く吉兆の爻は、内なる誠実さの磁力を示しています。中心に描かれるのは鶴という、清らかさと高潔さの象徴であり、その鳴き声は陰に隠れた場所から響きます。目立とうとせず、派手な演出もなく、ただ真実の姿を表現しているのです。しかし、その声は子鶴に届き、応答されることで、志を同じくする者同士の深い共鳴を示しています。これが「中孚」の本質であり、真の内面の状態は外見の誇示なしに他者を惹きつけ、影響を与える力を持つのです。呼びかけと応答は取引ではなく自然な調和であり、そのつながりは「良い杯」に象徴される喜びや成功、資源の共有へとつながります。目に見えないながらも深い「精神的共鳴」が心と心を結びつけるのです。
行動への指針
今あなたの力は、大声での主張や自己宣伝ではなく、静かで揺るぎない誠実さにあります。内面の品格を磨き、真心をもって自分の真実を表現しましょう。注目されなくても気にせず、あなたの本質と意図は、自然に共鳴すべき相手に伝わります。志を同じくする人々や真の友、信頼できる仲間が自然と引き寄せられるでしょう。そうしたつながりができたら、惜しみなく分かち合いましょう。知見や喜び、資源を共有することが大切です。戦略的な計算ではなく、共通の価値観と相互尊重に基づく絆を築く時期です。誠実さを名刺代わりにすれば、必ず応えが返ってきます。
恋愛・人間関係において
この爻は恋愛や人間関係において非常に良い兆しを示します。パートナーや将来の相手との深く、ほとんどテレパシーのようなつながりを暗示しています。独身の方は、ありのままの自分でいることが大切です。偽りの姿ではなく、本当のあなたに惹かれる人が現れます。言葉を超えた共感や理解に基づく、思いがけない深い結びつきが生まれるでしょう。すでに関係がある場合は、心が通じ合う美しい調和の時期です。最も深い感情や喜び(「良い杯」)を分かち合い、心の共鳴によって絆が一層強まります。
仕事・ビジネスにおいて
職場では、派閥争いや自己顕示を避け、誠実さと卓越した仕事ぶりに専念することが求められます。陰に隠れているように感じても、あなたの能力と真心は必ず評価されます。上司やメンター、影響力のある同僚(五爻に対応)から認められ、強力な協力関係や指導、共同プロジェクトへと発展する可能性があります。成功や評価(「杯」)を共に分かち合うことができるでしょう。仕事の質と人柄が自然に語ってくれます。
金銭面において
金銭面では、信頼できる人間関係と誠実な取引を通じて成功がもたらされます。あなたの誠実さこそが最大の財産であり、信頼できるパートナーや忠実な顧客、堅実な投資機会を引き寄せます。派手でリスクの高い手法は避け、相互信頼に基づく事業が繁栄の鍵です。杯を分かち合うイメージは、利益を公平に分配するパートナーシップや、あなたを信頼し評価する人からの思わぬ財運を示唆しています。自身の幸運は惜しみなく分け与え、信頼と豊かさの好循環を育みましょう。