六番卦、五爻
訟(争い)
九五:訟
爻辞
九五:訟,元吉。
五爻(陽爻):争い。大いに吉。
解説によれば、「争いにおける大いなる吉運」は、中心で正しい立場にあるためである。
解釈
この爻は卦の頂点に位置し、深い決着の瞬間を示します。卦名は「訟(争い)」ですが、この五爻は「大いに吉」と約束しています。これは矛盾ではなく、卦の核心的な教えです。五爻は支配者や裁判官、賢明な調停者の位置を表します。吉運は個人的な勝利から来るのではなく、公平で賢明かつ正義に基づいた判断を下すことから生まれます。解説は、この吉運が「中正(中心で正しい)」という爻の性質によると強調しています。これは上卦の天(強さと明晰さ)の中心にあり、陽の強さを持つ正しい位置であることを意味します。つまり、この立場の人は私情や感情に左右されず、客観的な真実と正義に基づいて行動します。争いの本質を見極め、関係者全員にとって真に持続可能な解決をもたらす判断力と明晰さを持っているのです。これこそが正義の勝利です。
行動への指針
あなたは権威ある立場にあるか、重要な争いを解決する機会に恵まれています。最大の強みは公平さです。「大いに吉」を得るためには、公正で正義ある裁判官のように振る舞うことが求められます。個人的な感情や偏見、どちらかに肩入れする気持ちは脇に置き、正義と公平の原則に忠実であるべきです。もしあなたが争いの当事者であれば、この爻は賢明で公平な第三者を求めるよう勧めています。誠実かつ明確に自分の立場を示し、公正な手続きに委ねることで最善の結果が得られるでしょう。操作や力ずくで勝とうとせず、正しいことに沿うことで勝利がもたらされます。
恋愛・人間関係において
この爻は、重大な争いが深い良い結果で解決される瞬間を示します。パートナーの一方または双方が「戦う者」から「公正な裁判官」へと立場を変える必要があります。問題を「正しい・間違っている」という視点ではなく、関係の健康と調和を最優先に考える高い視点から見つめ直すことが求められます。また、セラピストや信頼できる賢明な友人など、公平な第三者の介入が成功をもたらすことも示唆しています。客観的かつ真摯に問題に向き合い、公正な解決を目指すことで、信頼と理解の新たな基盤が築かれ、二人の関係に大いなる幸運が訪れるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
リーダーや意思決定者の立場にある場合、非常に吉兆の爻です。社内の対立や部署間、あるいは外部パートナーとの争いの調停を任されるかもしれません。公平で原則に忠実な判断力が、問題解決だけでなく、あなたの評価と権威を確固たるものにします。もしあなた自身が争いに巻き込まれている場合(例えば苦情や契約交渉など)、公正な上司や公式な手続きを頼ることで非常に良い結果が得られることを示しています。制度の公正さを信じてください。正義ある解決が目前にあります。
金銭・財務において
法的紛争や仲裁に関わる金銭問題において、この爻は非常に良い兆しです。訴訟、保険請求、相続争い、契約上のトラブルなどに関わっている場合、公平で賢明な裁判官や仲裁者が正しい判断を下し、幸運な解決をもたらすことを示しています。個人の財務判断においても、自分自身が「賢明な裁判官」となり、恐れや欲に左右されず客観的かつ明晰に状況を見極めることが大切です。公正な原則に基づいた決断が「大いなる吉運」と長期的な安定をもたらします。