57番卦 五爻
巽(そん)― 柔順の象徴
九五
爻辞
九五、貞吉、悔亡、無不利。無初有終。先庚三日、後庚三日。吉。
五爻の陽爻:正しい行いは吉となり、悔いは消え去る。すべてが順調である。始まりはなくとも終わりはある。庚の三日前、庚の三日後、吉である。
解説によれば:五爻の吉は、その正中の位置にあることによる。
解釈
この爻は非常に吉祥であり、巽卦の中で最も影響力のある位置を示します。五爻は君主の座であり、陽の位にある陽爻として、正しく均衡の取れた位置にあります。ここで示される状況は、大きな変革や改革が必要な時です。始まりは混乱や困難、あるいは不完全な状態(「無初」)であったかもしれませんが、今は物事を成功裏に、秩序立てて終結させる段階(「有終」)にあります。 この変化の核心は「庚」という象徴にあります。これは新たな決定や重要な命令、刷新の瞬間を意味します。「先庚三日、後庚三日」という言葉は、入念な準備とその後のフォローアップを示す強力な比喩です。行動に移す前に過去をよく振り返り、現状の原因を理解し、新たな方針を慎重に計画することが求められます。行動後は結果を注意深く観察し、新しい秩序を伝え、必要に応じて柔軟に調整を加えることが重要です。軽率な命令ではなく、深く考え抜かれた変革が、穏やかにしかし確実に状況を改善していきます。この慎重な改革の道を歩むことで、過去の悔いは消え去り、すべてが吉となるでしょう。
行動への指針
あなたは権威と影響力のある立場にあり、大きな変革が求められています。困難や混乱の始まりから、成功へと導く役割を担っています。衝動的に動くのは避け、行動前に十分な熟考、計画、相談の時間を持ちましょう。問題の経緯と現状に至った理由を理解し、明確な計画を立ててから変革を実行してください。実行後は結果を注視し、フィードバックを集め、新しい秩序が根付くよう丁寧に導くことが成功の鍵です。この慎重な検討、決断、フォローアップのサイクルが過去の誤りを正し、完全に良い結果をもたらします。
恋愛・人間関係において
あなたの関係は今、重要な転換点にあります。過去は不確かで波乱があったかもしれません(「無初」)が、今は安定し幸福な未来へ導く力を持っています(「有終」)。大切な決断や話し合いが必要です。例えば、関係の明確化や長年の問題の解決などです。始める前に、共に歩んできた歴史と未来への本当の願いを深く振り返りましょう。伝えるべきことを丁寧に整理し、穏やかで明確な言葉で伝えることが大切です。話し合いの後は忍耐強く耳を傾け、新たな理解を育ててください。この誠実で慎重なアプローチが、過去の傷や疑念を癒し、深く満たされた幸運な関係へと導きます。
仕事・ビジネスにおいて
あなたはリーダーシップを発揮する立場にあり、プロジェクトやチームに大きな影響を与えています。現状は大幅な改革や戦略の転換が必要です。プロジェクトは不完全なスタートを切ったか、方向性を見失っているかもしれません。あなたの役割は新たな方向性を示すことです。成功の鍵は強引な指示ではなく、計画的な移行管理にあります。「先庚三日」では徹底的な分析と関係者との協議、詳細な実行計画の作成を行い、「後庚三日」では変革後の影響を綿密に監視し、理由を明確に伝え、チームの適応を支援してください。あなたの正中の立場が成功を後押しし、慎重かつ先見の明を持った変革によって過去の問題を解消し、優れた成果を得られます。
金銭・財務において
この爻は財務戦略の大幅な見直しの時期を示しています。これまでの方法は無計画であったり、満足のいく結果を得られていなかったかもしれませんが、今こそ安定し繁栄する未来を築くチャンスです。大きな投資、資産売却、ポートフォリオの再編など重要な決断が迫っています。実行前の「先庚三日」には徹底的な調査と信頼できる専門家への相談を行い、長期的な影響を理解してください。実行後の「後庚三日」には資産の動きを注意深く監視し、必要に応じて調整を加えましょう。衝動的な行動は避け、計画的かつ綿密な管理による財務改革が過去の不足を正し、大きな幸運をもたらします。