第56卦 三爻目
旅(たびびと)
九三:旅焚其次
爻辞
九三:旅焚其次,喪其童僕,貞厲。
旅人が宿を焼き失い、若い従者を失う。貞(正しい心)を持つことは危険を伴う。
解説によれば:旅人は宿を焼くことで自らも傷つく。身分の低い者との関係において彼らを失うのは当然のことだ。
解釈
この爻は、傲慢さや軽率さから自らを傷つける様子を鮮明に描いています。旅人は本来、身を守り人間関係を大切にすべきですが、無謀な行動で自らの拠り所を焼き払ってしまいます。「宿を焼く」という表現は、自分の安全や支えとなるものを怒りやプライドで壊すことの強い比喩です。不適切な干渉や行動により、自ら災いを招いてしまうのです。その結果、「若い従者を失う」とは、信頼や忠誠、助けとなる存在を失うことを意味し、部下や友人、あるいは純粋な感覚までも失うことを象徴しています。最後の「貞厲」は、こうした態度を続けることが危険であると警告しています。これは運命ではなく、自ら招いた不幸なのです。
行動への指針
今すぐ自分の態度や行動を見直す強い警告です。特に助けてくれる人や部下に対して、過度に厳しく傲慢になっている可能性があります。あなたは思っている以上に弱い立場(旅人)にあり、その行動が自分の安全を脅かしています。今の行動を止め、争いを続けたり自分の主張を押し通すのはやめましょう。このまま進めば孤立と損失を招きます。一歩引いて謙虚さを持ち、自分が問題にどう関わっているかを冷静に見つめ直すことが大切です。今は勝ち負けを争うよりも、関係を壊さず味方を失わないことが最優先です。
恋愛・人間関係において
この爻は、あなたの言動が関係全体を危うくしていることを警告しています。喧嘩を仕掛けたり、嫉妬心から行動したり、無理な要求をしたり、相手を尊重しない態度が見られるかもしれません。「宿を焼く」は、関係の土台である安心感や信頼を壊すことを意味します。「若い従者を失う」は、相手の好意や忍耐、愛情が尽きかけていることを示しています。このままでは修復不可能なダメージを負う恐れがあります。深い自己反省が必要です。厳しい態度を謝罪し、壊れた信頼を取り戻す努力をしましょう。今のまま突き進むと、辛い別れを迎えることになります。
仕事・ビジネスにおいて
職場では、まるで陶器店にいる雄牛のように振る舞っているかもしれません。新しい役割や一時的なプロジェクト、慣れない環境にいるにもかかわらず、傲慢な態度で同僚や部下、上司を遠ざけています。自らの評判を傷つけ、立場を危うくしているのです。「宿を焼く」とは、職業的な信用を失うことを意味し、「従者を失う」はチームの支援や協力を失うことを示します。このままではキャリアに大きなダメージを与えかねません。すぐに謙虚で協調的、外交的な態度に切り替えましょう。話すよりもまず聞くことが重要です。今の最優先課題は、損なった信頼を回復し、関係を修復することです。
金銭面において
この爻は、軽率さや欲に駆られた深刻な金銭管理の失敗を示しています。「宿を焼く」は、資本や貯蓄、資産という経済的な拠り所を投機的な事業やギャンブル、無駄遣いで浪費することの比喩です。慎重さを欠いた行動が原因です。その結果、「従者を失う」とは、金融パートナーの信頼を失ったり、賢明な助言を無視したり、家族の将来のための資源を使い果たすことを意味します。メッセージは明確です:今すぐ止めなさい。これ以上の投資や浪費はやめ、危険な道を進み続けることは自滅を意味します。残った資産を守り、経済的な安全と安定を取り戻すことに専念しましょう。