53番卦、初爻
発展(渐)
初六:鴻漸于干。小子厲
爻辞
初六:鴻漸于干。小子厲,有言,无咎。
雁がゆっくりと岸に近づく。若い者は危険にさらされている。噂があるが、咎められることはない。
解説によれば:若者の危険は正しい行いに基づくものであり、咎められることはない。
解釈
53番卦の初爻は、長くゆっくりとした秩序ある発展の始まりを示しています。水辺から岸へと一歩を踏み出す若い雁の姿が象徴されており、まだ不安定で未熟な状態を表しています。「小子」とは経験の浅い若者や初心者を指し、まだ確固たる立場を持たず、失敗や批判にさらされやすい状況です。「有言」とは周囲の噂や疑念、無用な助言を意味します。しかし、「无咎」とあるように、この段階での不安や批判は自然なものであり、正しい過程の一部です。慎重かつ誠実に進めば、咎められることはありません。
行動への指針
新しい挑戦や人生の段階の始まりに立っています。進展はゆっくりで、計画的に進めることが求められます。最初の一歩を慎重に踏み出しましょう。未熟さや他人の批判にくじけず、自分の弱さを認めつつ謙虚に進むことが大切です。焦って先を急いだり、手順を飛ばしたりしないでください。堅実な基盤を築くことに集中し、地味でも着実な歩みを心がけましょう。今直面している困難は自然な過程の一部であり、間違った道を進んでいるわけではありません。まずは正しいスタートを切ることが最優先です。
恋愛・人間関係において
恋愛を求める人にとって、この爻は関係の最初の一歩を示します。初めてのデートや興味を示す瞬間、あるいは心を開く決意の時かもしれません。ここには大きな不安や自己疑念、拒絶への恐れが伴います。「小子厲」はその脆さを表し、「有言」は友人の意見や自分の不安な心の声を指します。誠実かつ慎重に一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。大きな期待はせず、徐々に関係を築くことが大切です。既に関係がある場合は、新たな段階(同棲など)への移行を意味し、忍耐と慎重な対応が求められます。
仕事・ビジネスにおいて
この爻は新人の立場や新しい仕事の初日、小規模なプロジェクトの開始を表します。あなたは「小子」、つまり初心者です。経験不足からミスや先輩からの批判にさらされやすい状況です。謙虚にこの立場を受け入れ、焦らず自分のペースで学びましょう。無理に自分を証明しようとせず、基本的な業務を丁寧にこなすことが信頼を築く鍵です。初心者であることに咎めはなく、誠実かつ慎重に取り組むことが重要です。
金銭面において
この爻は金銭面での新たなスタートを示します。初めての貯蓄計画や小額の投資、資本金の少ない事業の開始などが該当します。まだ経済的な余裕は少なく、一歩間違えれば大きなリスクとなる不安定な状況です。周囲からの批判的な意見もあるかもしれませんが、慎重かつ保守的に進めることが肝心です。雁が岸に一歩踏み出すように、小さく着実な一歩を踏み出し、堅実な金銭管理を心がけましょう。リスクの高い投資は避け、確実な基盤を築くことが将来の成長につながります。慎重に進めれば咎められることはありません。