卦51、五爻
震(しん)-動揺の爻
六五
爻辞
六五,震往來厲,億無喪,有事。
六五の爻辞:雷が行き来し、危険が伴う。しかし心を定めれば損失はなく、やるべきことがある。
解説:「雷が行き来し危険あり」とは、危険な道を歩むことを意味する。事が中心にあるため、大きな損失はない。
解釈
この爻は君主の位置にあり、継続的かつ繰り返される危機の状況を示しています。衝撃は単発の出来事ではなく、絶え間なく訪れる動揺であり、常に危険な環境が続いています。個人はこの混乱の中心に位置しています。しかし、この爻は陰爻であり、攻撃的ではなく受容的で柔軟な性質を持ちます。危機を乗り切る鍵は、力で抵抗することではなく、心を落ち着けて中心を見失わないこと(億)にあります。冷静で観察力を保ち、核心に集中することで、慌てたり軽率な行動を避けられます。この内なる平静があれば、状況は危険でも大きな損失は免れます。自分の立場や計画、自己の本質が守られるのです。さらに「有事」とあるように、停滞するのではなく、むしろ重要な任務や責任に真摯に取り組むべき時期であることを示しています。まるで地震の中でも祭司が神事を続けるように、混乱の中で秩序を保つことが求められています。
行動の指針
あなたは今、嵐の目の中にいます。危機や混乱は単発の出来事ではなく、繰り返し起こるパターンです。絶え間ない動揺や危険に動揺しないでください。最も重要なのは、自分の内面の冷静さと明晰さを保つことです。感情的な反応や衝動的な判断は避けましょう。状況の危険性を認識しつつも、それに飲み込まれないことが肝心です。あなたの力は、中心を保ち、心を整えることにあります。最も重要な任務や責任にエネルギーを集中し、不要なことや気を散らすものは排除してください。真に大切なことを着実にこなすことで、この激動の時期を大きな損失なく乗り越え、立場や目的を守り抜けるでしょう。
恋愛・人間関係について
あなたの関係は繰り返される衝撃と不安定さの時期を迎えています。口論や外部からの圧力、誤解が何度も起こり、常に危機感が漂っています。深刻な亀裂の危険性もあります。この状況を乗り切るには、目の前のドラマに反応しすぎないことが大切です。感情の中心を見つけ、できるだけ冷静さを保ちましょう。関係の核となる愛情、信頼、共有する価値観に焦点を当ててください。心の大切な「事柄」を丁寧に扱うことで、混乱に流されずに関係を守り抜くことができます。
仕事・ビジネスについて
あなたは会社や業界の大きな変動期において、リーダーや重要な役割を担っています。組織再編、市場の変動、内部対立などが連続的に起こり、安定を脅かしています。あなたの役割はすべての問題に飛びつくことではなく、冷静で安定した舵取りをすることです。事業の核となる機能、重要なプロジェクト、主要な人材に集中し、周囲の混乱に惑わされないでください。冷静さを保ち、主要な責務を着実に管理することで、大きな失敗を防げます。今は大胆な拡大よりも、現状維持と危機管理に専念すべき時期です。あなたの落ち着きが、組織と自身の立場を守るでしょう。
金銭面について
あなたは非常に不安定な財務状況に直面しています。市場の激しい変動や収入源の繰り返される脅威、不確実性が続いています。大きな損失のリスクが高く、持続的です。生き残る鍵は、慌てずに慎重に行動することです。恐怖や過熱に流されて軽率な投資判断をしないでください。冷静に状況を見極め、資産の保全と財務基盤の確保に注力しましょう。予算の見直し、緊急資金の確保、保守的な財務計画の遵守が求められます。こうした大切な「事柄」を丁寧に管理することで、財産を守りつつ荒波を乗り切ることができます。