卦47、六爻目
困(こん)
六五
爻辞
六五,困于葛藟,于臲卼。曰動悔。有悔,征凶。
蔓延する葛の蔓に絡まれ、高く危うい場所にいる。動けば後悔すると言う。もし後悔を抱えたまま行動すれば、凶となる。
解説によれば、「葛藟に困る」とはその立場が適切でないことを示す。「動けば後悔、後悔があること」は吉兆である。
解釈
この爻は困難の極致を表し、完全に絡み合い、危険な状況にあることを示しています。「葛の蔓」は過去の過ちや悪習慣、束縛となる義務や不健全な人間関係を象徴し、自由な行動を妨げます。「高く危うい場所」は、頂点に達したものの不安定で危険な状態を意味します。まず、衝動的な行動は後悔を招くことを悟ります。しかしさらに、この爻は後悔の感情から無理に動こうとすることも凶をもたらすと警告しています。解説が示す重要なポイントは、行動そのものではなく、後悔の過程にこそ吉があるということです。真の知恵は絡まりを認識し、自分がどのように関与したかを理解し、深く学ぶことにあります。この困難な自己省察から生まれる内面的な変容こそが、やがて正しい行動をとるための道を開くのです。
行動への指針
現在の状況は長い絡まりの連続の結果です。今は大きな行動を起こさないでください。もがけばもがくほど、束縛は強まり状況は悪化します。まずは立ち止まり、内省することが最優先です。あなたの人生の「葛の蔓」とは何か、過去の決断や習慣、約束事の中で何が足かせになっているのかを見極めましょう。自己憐憫に陥らず、自分の役割を認めることが大切です。感じる後悔は強力な教師です。そこから学びましょう。解説にある「吉」は、この過程で得られる知恵を指します。困難の根本原因を理解することで、やがて行動の時が来たときに賢明かつ効果的に動けるようになります。今は忍耐と受容、そして深い内省が唯一の有効な手段です。
恋愛・人間関係において
あなたは今、深く絡み合い圧迫感を感じる関係にあります。古いパターンや未解決の問題、依存的な関係性が成長を妨げているかもしれません。状況は不安定で、突然の決断や衝動的な別れはさらなる混乱と後悔を招くでしょう。ここでの助言は、もがくのをやめて内面を見つめることです。自分自身の行動やパターンがこの状態を作り出したことを振り返りましょう。後悔を感じることが変化への第一歩です。真の道は感情的に反発することではなく、この苦しい経験から学ぶことにあります。この内なる知恵が、やがて関係を変えるか、あるいは平穏をもって離れる道を示してくれるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
キャリアの中で完全に行き詰まり、官僚的な制約や過去の失敗、有害な職場環境に絡め取られている状態です。地位は高いかもしれませんが、不安定で自由な動きは望めません。今、感情的に辞職したり、無謀な新規事業を始めたり、上司に対峙するのは誤りで、悪い結果を招きます。最も賢明なのは抵抗をやめ、ここまでの経緯を分析することです。どんな誤判断や妥協がこの絡まりを生んだのかを学びましょう。この後悔から得られる自己認識こそが「吉」であり、状況が好転したときにより良い戦略的な一手を打つ力となります。
金銭面において
この爻は深刻な金銭的絡まりを示しています。過去の借金や重い負債、失敗した投資に縛られている可能性があります。財政状況は不安定で、キャッシュフローの問題を解決しようとさらに借金を重ねたり、慌てて資産を売却したりすると、さらに悪い結果を招きます。金銭的な動きを一旦止め、正直に過去の誤りを見つめ直すことが必要です。絶望せずに自分の判断ミスを認めましょう。感じる後悔はお金との関係を見直すための重要なサインです。吉兆は突然の臨時収入ではなく、この苦難の中で得た知恵をもとに習慣や戦略を根本的に変え、長期的な経済的安定を築くことにあります。