卦47、四爻
困(こん)
九四
爻辞
九四、來徐徐、困于金車、吝、有終。
四爻の九は、ゆっくりと進み、金の車に困らされる。恥じることがあるが、最後には良い結末が訪れる。
解説によれば:「ゆっくりと進む」とは、意志が下方に向かっていることを示す。適切な場所にはいないが、味方がいる。
解釈
この爻は、困の全体的な状況の中で逆説的な状態を描いています。ここでの「困」は貧困や資源不足によるものではなく、むしろ富や権力の象徴である「金の車」による圧迫を意味します。これは名誉あるが窮屈な職務、裕福だが要求の多い後援者、あるいは表面的には魅力的でも内面では疲弊させる責任の重さを表しています。進み方は「ゆっくりと」であり、これは弱さではなく、状況の重さや複雑さによるため、躊躇や慎重さが伴います。「吝(りん)」は恥じる気持ちを示し、自由に動けず閉じ込められている感覚があることを表します。しかし、この爻の良い結末の鍵は解説にある通り「意志が下方に向かう」ことです。この位置にいる者(臣下)は、正しく下の者(初爻の民)と結びつき助け合おうとします。この謙虚で正しい志向、誠実で支え合う力との連携こそが、上からの一時的な圧迫を耐え抜き、最終的に良い結果をもたらすのです。外側の「金の車」という罠は、内なる徳によって克服されます。
行動への指針
忍耐強く、慎重に行動しましょう。一見大きな利点やチャンスに見えるものが、実は現在の制約や不満の原因であることを認識してください。地位や富、権力者に惑わされたり、萎縮したりしないことが大切です。代わりに「下方」に目を向け、状況の根本や草の根の支援、謙虚で忠実な味方に注目しましょう。あなたの誠実さと基盤となる支えこそが真の強みです。今の閉塞感や恥ずかしさは一時的なもの。大切なことに集中し、慎重に進めば、やがて障害を乗り越え成功を手にできます。
恋愛・人間関係において
この爻は、外から見ると理想的に見える関係(「金の車」)が、内側では息苦しく制約を感じる状況を示します。相手は裕福で魅力的、社会的にも目立つかもしれませんが、その関係の中で自分の望みやニーズが抑え込まれていると感じるでしょう。進展は遅く困難です。完璧であるはずの関係が自分を不幸にしていることに恥ずかしさを覚えるかもしれません。ここでの助言は「下方」に目を向け、関係の基盤を見つめ直すことです。輝かしい表面の下に誠実で心からの絆(初爻とのつながり)があるかどうかを確認し、その真実の絆を育ててください。基盤がしっかりしていれば、外からの圧力に耐え、最終的に幸せな結末を迎えられます。もし絆がなければ、「金の車」は美しい檻に過ぎません。
仕事・ビジネスにおいて
名誉ある職や権力ある企業、高い注目を浴びるプロジェクト(「金の車」)に携わっているものの、逆に創造性や自主性が抑えられている状況かもしれません。官僚的な体制や厳しい上司(上の五爻の圧迫)からの期待、役職の重みが進展を遅らせ、苛立ちを生みます。自分の力を発揮できず閉じ込められているように感じ、恥ずかしさを覚えることもあるでしょう。成功の鍵は上層部の政治に巻き込まれないことです。代わりに「下方」に目を向け、チームと連携し、後輩を指導し、仕事の基本的な重要事項に集中しましょう。現場の仲間(初爻)との強い結びつきが、困難を乗り越え成功へ導く支えとなります。忍耐が報われます。
金銭面において
本来は資産であるはずのものに縛られている状況を示します。複雑な投資、高維持費の不動産、大きな遺産など(「金の車」)が、ストレスや選択肢の制限、資源やエネルギーの消耗をもたらしています。金銭的な進展は停滞し、資産から恩恵を受けるべきなのに逆に制約されていることに恥ずかしさを感じるかもしれません。ゆっくり慎重に動くことが肝心です。状況はやがて好転します。解決策は、高飛車で役に立たない助言者よりも、信頼できて謙虚な相談相手(「下方」の初爻)に助けを求めることかもしれません。派手な資産よりも基本的な財務の健全さに注力すれば、良い結末が訪れます。