卦47、六三爻
困(こん)
六三:石に困り、蒺藜に凭(もた)れる
爻辞
六三:困于石,據于蒺藜,入于其宮,不見其妻,凶。
六三爻:石に阻まれ、蒺藜(とげのある草)に凭れかかる。自宅に入っても妻に会えず、不吉である。
解説によれば、「蒺藜に凭れる」とは硬くて厳しいものに頼ることを示し、「自宅に入って妻に会えない」は凶兆である。
解釈
この爻は、深刻で自己増幅的な苦境を描いています。象徴は重く多層的です。「石に困る」とは、動かせない外的障害に囚われ、圧迫されている状態を示します。絶望の中で誤った選択をし、「蒺藜に凭れる」、つまり痛みを伴い信頼できないものに頼ってしまうのです。これは安定を求める誤った試みであり、さらなる傷を招きます。最後の「自宅に入って妻に会えない」というイメージは、究極の孤立を表します。安らぎの場であるはずの家が慰めを与えず、心の支えであるはずの配偶者が不在か疎遠であることを示しています。これは、苦境の中での誤った判断が根本的な支えの崩壊を招いていることを意味します。状況は単に困難なだけでなく、自らの行動によって悪化しているのです。結論は明白で、「凶」と断じられています。この道は孤立と失敗を深めるのみです。
行動への指針
あなたは非常に不利な立場にあり、しかもその状況を改善しようとする試みが裏目に出ています。この爻からの警告は厳しく、「今の行動を止めよ」というものです。頼っている支えは害をもたらし、進もうとする方向は孤立と喪失を深めるだけです。無理に進まず、一歩引いて自己反省に努めるべきです。まず「石」(動かせない核心的問題)と「蒺藜」(痛みを伴う偽りの支え)を見極めましょう。現在の戦略が誤っていることを認めることが第一歩です。外部のせいにするだけではなく、自身の判断も問われています。不確かな人間関係や計画、有害な依存から距離を置くことが必要です。状況は深刻であり、現実を冷静に見据えた上での根本的な方向転換だけがさらなる凶を防ぎます。
恋愛・人間関係において
この爻は、関係が深刻な危機にあることを示しています。あなたは「石に困る」ように、関係の状況や相手の性格に圧迫されていると感じているでしょう。苦しみの中で、かえって痛みを増すような形で関係にしがみついているか、あるいは関係外で不健康な慰めを求めているかもしれません。「自宅に入って妻に会えない」という象徴は、深い感情的な孤立を表します。物理的には一緒にいても、まったく理解されず孤独を感じている状態です。家庭やパートナーシップに本来あるべき安心感やつながりが失われています。これは関係にとって非常に危険なサインであり、このまま進めばさらなる心の傷を招くでしょう。関係の基盤が健全かどうか、双方が率直に見極める時期です。
仕事・ビジネスにおいて
仕事の場面では、この爻はプロジェクトや役割に完全に行き詰まっている感覚を示します。「石に困る」ように、努力が頑なな抵抗に阻まれ、動きが取れません。その苦境で、誤った戦略や不安定な上司、信頼できない同僚に頼ってしまい(「蒺藜に凭れる」)、状況をさらに悪化させています。結果として職場で孤立感を覚え、「自宅に入って妻に会えない」ように、オフィスにいても居場所や評価を感じられません。あなたの貢献は見過ごされ、孤立しています。これは現在のやり方が失敗に向かっている明確なサインであり、プロジェクトの失敗や降格、最悪の場合は解雇につながる恐れがあります。「石」に無理に立ち向かうのをやめ、戦略や人間関係を根本から見直す必要があります。
金銭面において
この爻は厳しい金銭状況を描いています。借金や大きな経済的負担に押しつぶされそうな状態(「石に困る」)にあるでしょう。解決を急ぐあまり、高金利の借入や投機的な一攫千金の計画、信頼できない金融アドバイスに頼ってしまい(「蒺藜に凭れる」)、状況を悪化させています。結果として経済的な安全基地が失われ、努力しても成果が見えず、安心感が得られません(「自宅に入って妻に会えない」)。易経はこのままの行動は破滅的で大きな損失を招くと警告しています。投機的・無謀な行動は直ちにやめ、現実を直視した堅実な資金計画を立て、安易な逃げ道に頼るのをやめるべき時です。