47番卦、二爻
困(こん)
九二:酒食に困る
爻辞
九二:困于酒食,朱绂方来,利用亨祀,征凶,无咎。
九二:酒食に困る。朱の綬を帯びた者が今まさに来る。祭祀を行うことは吉。出征は凶。咎なし。
解説によれば、「酒食に困る」とは中心の位置にあるため、祝賀の理由があることを示す。
解釈
この爻は深い逆説を示しています。困難は不足からではなく、むしろ停滞した豊かさから生じています。「酒食」は物質的な安楽や感覚的な喜び、あるいは最低限の生活の充足を象徴します。しかし、その快適さが罠となり、停滞や高次の目的の喪失を招いています。物質的な問題に縛られ、身動きが取れず、精神が閉じ込められている状態です。 この閉塞感にもかかわらず、助けと名誉が近づいています。「朱綬を帯びた者」は高位の人物、重要な機会、あるいは神の助力を意味します。この助けはまだ到来していません。したがって、現状から無理に抜け出そうと積極的に行動すること(「出征」)は凶となります。今は問題に正面から挑む時期ではありません。 正しい道は内面と精神の向上にあります。「祭祀を行うことは吉」とは内省を促すものです。祈りや瞑想、感謝の念を示し、自分の核心的な価値観と再びつながる時期です。こうした内的な「捧げもの」によって意図が清められ、訪れる幸運と調和します。これにより困難な時期を過ごしても重大な過ちを犯さずに済みます。解説は、この中心に据えた忍耐強い姿勢の中にこそ真の祝福(祝賀の理由)が隠されていると指摘しています。
行動への指針
表面的には快適に見えても、内心では満たされず窮屈に感じる状況にいるかもしれません。給料は良いが意味を感じられない仕事や、安全だが停滞している生活スタイルなどです。この「快適さに困る」という感覚は、内なる自己からの重要なサインです。苛立ちから突然の大きな変化を起こす衝動に抗いましょう。衝動的に仕事を辞めたり、リスクの高い事業を始めたり、最後通告を出したりするのは避けるべきです。そうした行動は裏目に出る可能性が高いです。代わりに内面に目を向け、深く自己を見つめ直し、長期的な目標を明確にし、内なる決意を強めましょう。今あるものに感謝することで、恨みから感謝へと視点が変わります。精神を養う活動に取り組みましょう。こうした内的な準備をすることで、すでに近づいている重要な助けや機会を受け入れる準備が整います。忍耐と誠実さが今の最大の武器です。
恋愛・人間関係において
この爻は「安定したマンネリ」を示すことがあります。関係は安定し物質的には安心ですが、情熱や深い結びつき、精神的成長に欠けています。日常のルーティンや予測可能さに縛られていると感じるでしょう。独身の場合は、軽い交際や表面的な楽しみに気を取られ、本質的なつながりが生まれにくい状態かもしれません。関係を急に終わらせたり、劇的な要求をしたりするのは避けましょう(「出征は凶」)。代わりに自分の内面に目を向け、パートナーや愛に対して本当に大切に思うことを再確認し、今ある良い面に感謝しましょう。この内面の変化が関係のダイナミクスを穏やかに変え、より深い結びつきを呼び込む可能性があります。重要な良い展開(「朱綬」)は、強引さではなく、あなたの誠実な内面の変化からもたらされます。
仕事・ビジネスにおいて
この爻は「金の手かせ(金銭的な安定が逆に足かせになる状況)」を的確に表しています。給料や福利厚生は良いものの、創造性や情熱、自己成長が抑えられている状態です。安定が逆に息苦しさを生んでいます。昇進やより充実した役割(「朱綬」)のチャンスは近づいていますが、今はそれを無理に求めたり、感情的に辞めたり、競合ビジネスを始めたりする時期ではありません(「出征は凶」)。むしろ今は内面の準備期間として活用しましょう。現在の職務を誠実かつ優秀にこなし、余暇には新しいスキルを磨き、誠実に人脈を広げ、最終的なキャリアビジョンを明確にしてください。この忍耐強く着実な姿勢こそが「捧げもの」であり、適切な機会が訪れたときに最高の状態で迎えられます。
金銭面において
経済的には安定しているものの停滞感があり、収入は支出を賄うものの成長がなく、経済的な義務や単一の収入源に縛られて自由が制限されているかもしれません。この安定自体が一種の圧迫感となっています。大きな財政的改善の機会(新しい顧客、より良い給与の仕事、賢明な投資など)が近づいていますが、それを無理に引き寄せることはできません。焦ってリスクの高い投資や急激な財務変更をするのは「出征して凶」となります。正しい行動は「捧げものをする」こと、つまり今ある安定に感謝し、予算を綿密に見直し、金融知識を深め、長期的な財務目標を明確にすることです。この静かな内的準備期間が、来るべきチャンスを見極め、賢明に行動する力を養います。