卦42 六三爻
益(増加)
六三:益之用凶事
爻辞
六三:益之用凶事,无咎。有孚中行,告公用圭。
六三爻:増加は不運な出来事を通じてもたらされるが、咎められることはない。誠実に中庸の道を歩み、玉の板をもって公に報告せよ。
解説曰く:増加が不運な事に用いられるのは確固たる原則である。
解釈
この爻は、一見矛盾する深い状況を示しています。全体として吉兆である「益」の卦において、予期せぬ危機や「不運な出来事」が起こります。しかし、この出来事は正しく対処すれば咎められることなく、むしろ力と豊かさの源となり得ます。陽の強い位置にある陰爻は、積極的に先導するのではなく、誠実で支援的な役割を果たす人物を象徴します。災難を利益に変える鍵は、誠実さ(有孚)、中庸の行動(中行)、そして権威に対する正式かつ透明な報告(告公用圭)にあります。玉の板(圭)は権威と誠意の象徴であり、行動が名誉あるものでなければなりません。誠実かつ無私の態度で危機に対応することで、問題を解決するだけでなく、信頼を築き、人格を強化し、集団の利益を高めることができます。これは不幸から利益を得るのではなく、困難を通じて徳を示し、より深く永続的な「益」をもたらすことを意味します。
行動の指針
予期せぬ問題や危機、緊急事態に直面するかもしれません。これを挫折と捉えず、人格を試される重要な機会と考えてください。あなたの対応こそが最も重要です。資源や能力を活かして問題解決に尽力しましょう。成功のためには、次の三つの原則を守ることが必要です。1)誠実さ:動機は純粋で、混乱から個人的利益を得ようとしないこと。2)バランス:冷静かつ公平に行動し、極端な反応や慌てた決断を避けること。3)透明性:秘密裏に動かず、関係者や上司に意図や行動を明確に伝えること。これらを守ることで、名誉を保ちつつ深い信頼を得て、あなたの立場と集団の安定を強化できます。
恋愛・人間関係において
予期せぬ困難が関係を試すかもしれません。家族の緊急事態や経済的問題、あるいは突然表面化した内部の対立などが考えられます。この爻は絶望せず、徳ある行動を通じて絆を深める機会と捉えるよう促します。築いてきた愛情と信頼を活かし、不運な出来事を共に乗り越えましょう。誠実さをもって相手を支え、責めることなく中庸の道を歩み、率直かつ正直に話し合うことが大切です。こうした誠意ある対応により、関係はより強固で信頼に満ちたものへと成長します。
仕事・ビジネスにおいて
職場で突然の危機が起こるかもしれません。プロジェクトの失敗、大口顧客の問題、内部対立などです。この爻は、あなたが問題解決に貢献できる立場にあることを示しています。通常の業務を超えた価値を示す好機です。野心や自己顕示欲ではなく、チームや会社の利益を第一に考え、誠実に行動しましょう。バランスの取れた慎重な解決策を提案し、無謀や自己中心的な行動は避けてください。特に上司とのコミュニケーションを密にし、状況や計画、進捗を報告することが重要です。この透明性(「玉の板で報告」)が信頼を築き、責任感あるチームプレイヤーとしての評価を高めます。危機をうまく乗り切れば、あなたの評価とキャリアの資産は大きく増加するでしょう。
金銭面において
予期せぬ大きな出費が必要になるかもしれません。急な住宅修理、医療費、車の故障などが該当します。これが「不運な出来事」です。ここでの「益」の原則は、貯蓄や緊急資金を活用して迅速に対処することにあります。後悔やためらいなく必要な支出を行うことが大切です。真の危機に対処するための出費に咎めはありません。誠実に必要性を認め、中庸の心で冷静に対応しましょう。慌てて長期投資を解約するなどの衝動的な判断は避けてください。配偶者やビジネスパートナーが関わる場合は、費用や支払い計画を隠さずに明確に伝えましょう(「公に報告」)。一時的に資金が減っても、責任感と誠実さをもって対処することで、長期的な安定と信用を築けます。