卦39、初爻
蹇(障害)
初六:往蹇
爻辞
初六:往蹇,來譽。
初めの六爻:進むことは障害を意味し、退くことは称賛を受ける。
解説によれば:進むことは障害、退くことは称賛。待つことが適切である。
解釈
この爻は「蹇(障害)」の始まりを示しています。困難の山の麓に立ち、背後には危険な崖が広がっています。自然な衝動は問題に正面から立ち向かおうとするかもしれません。しかし、この爻は明確に警告しています。今進むことはさらなる困難と混乱を招くだけです。前方の道は塞がれているのです。賢明な判断は、障害を正しく認識し、無理に突破しようとせず、エネルギーを無駄にしないことです。「退くことは称賛を受ける」とは、完全な諦めではなく、戦略的な撤退を意味します。すなわち、一旦立ち止まり、直接の対立から身を引き、安全で安定した場所に戻ることです。この慎重さと自制心こそが「称賛」を得る理由であり、知恵と良識の証とされます。危険を見極め、無理に踏み込まない選択をするのです。
行動への指針
すぐに前進を止めましょう。今は大胆に攻めたり、無理に物事を進める時ではありません。強引に押し進めれば、強い抵抗に遭い、失敗や損失を招くでしょう。最も賢明で効果的な行動は、一旦立ち止まり、状況を見直し、情報を集め、資源を温存することです。これを後退と捉えず、重要な戦略的判断と考えてください。負け戦に挑まないことで、知恵を示し、より良いタイミングに備えて力を蓄えるのです。忍耐こそが今の最大の武器です。
恋愛・人間関係において
新たな一歩を踏み出そうとしているなら――例えば告白、関係の進展を求める、難しい話し合いを始めるなど――この爻は「待つべき」という強いメッセージを送っています。今無理に進めれば、拒絶や誤解を招き、かえって距離ができる可能性が高いです。相手がまだ準備できていないか、タイミングが合っていないのです。「称賛」は、状況の流れを尊重し、焦らず控えめに振る舞うことに対して与えられます。一歩引いて、相手にスペースを与え、自分自身の心身のケアに努めましょう。あなたの忍耐と押し付けない姿勢は必ず評価され、障害が解消された後の良い土台となるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
仕事面で大きな障害に直面しています。停滞したプロジェクト、手の届かない昇進、難航する交渉などが考えられます。もっと努力したり、強引に提案を押し進めたくなるかもしれませんが、この爻はそれを戒めています。無理に進めれば挫折や失敗を招くだけです。今は現状の方針を一旦止め、プロジェクトを棚上げし、昇進の話を延期し、交渉から一歩引くことが賢明です。この慎重な姿勢は、周囲からもプロフェッショナルで賢明だと評価されます。この期間を利用して戦略を練り直し、協力者を増やすか、外部環境が好転するのを待ちましょう。
金銭面において
新たな投資や大きな買い物を進めることに対する明確な警告です。現状の条件は好ましくなく、今動けば損失を被る可能性が高いです。投資を検討しているなら見送るべきです。大きな支出を控えるなら延期しましょう。「退くことは称賛を得る」とは、財政的に安全な立場に戻ることを意味します。資金を温存し、現金を手元に置き、新たなリスクを避けることが賢明です。忍耐と慎重さが資産を守り、後に困難を回避できたことに感謝するでしょう。より明確で安全な機会が訪れるまで待つのが最善です。