卦38、五爻
睽(けい)
九五:悔いなし
爻辞
九五:悔亡,厥宗噬膚,往何咎?
五爻(陽爻):悔いが消え去る。親族が柔らかな肉を噛み切る。前に進むことに何の咎があろうか?
注釈によれば、「親族が柔らかな肉を噛み切る」とは、前進することが喜ばしい結果をもたらすことを意味する。
解釈
この爻は、睽(けい)の卦における転換点であり、問題の解決を示します。疎遠や誤解によって生じた悔いはここで克服されます。「親族が柔らかな肉を噛み切る」という表現は力強く生々しいものです。「親族」とは対応する陰の二爻を指し、この強い陽爻にとって自然で正しい相手です。対立の状況の中でも、根底には確かな繋がりが存在していることが明らかになります。この「噛み切る」という行為は攻撃ではなく、親密で決定的な結びつきを意味します。誤解という硬い表面を切り裂き、真実と繋がりの柔らかな核心に到達する突破口です。真の味方を見つけ、深い絆を結ぶ瞬間であり、この繋がりが本物で強力であるため、これまでのためらいは消え去ります。この味方と共に進むことは正しく、成功と喜びをもたらし、咎められることはありません。対立は力ずくではなく、正しい繋がりを見出し結合することで解消されるのです。
行動への指針
悔いや迷い、孤立の時期は終わりを迎えています。前に進む鍵は真の味方を見つけることにあります。周囲の対立や不一致の雰囲気に惑わされず、根本的で核心的な繋がりを共有できる相手を探しましょう。形式や表面的なものを乗り越え、誠実で本質的な絆を築く覚悟が必要です。その人と本質に触れ合いましょう。この強力な同盟が結ばれれば、自信を持って進むべきです。この関係を信頼し、共に残る障害を乗り越えてください。今は全員と外交的に付き合う時ではなく、正しい相手と深い絆を結ぶ時です。
恋愛・人間関係において
誤解や争い、外部からの圧力で関係がぎくしゃくしている場合、この爻は非常に吉兆です。強力な突破口が目前にあります。過去の争いによる「悔い」は消え去り、あなたとパートナーは表面的な対立を乗り越え、深く親密なレベルで再び繋がります(「柔らかな肉を噛み切る」)。今は率直で脆弱な心を持つ時であり、それが二人の根本的な愛を再確認させます。責める気持ちは消え去ります。独身の方には、たとえ出会いの状況が特殊であったり対立があっても、すぐに深い繋がりを感じる相手に出会うことを示しています。この人は精神的な「親族」です。ためらわずにその繋がりを追求してください。大きな喜びが待っています。
仕事・ビジネスにおいて
職場で孤立感を抱いたり、同僚と対立したり、プロジェクトが停滞している場合、この爻は大きな突破を告げます。あなたのビジョンを真に理解し、共に働く意志のある重要なパートナーや上司を見つけるでしょう。この同盟が官僚主義や社内政治、抵抗を切り裂く力となります。「肉を噛み切る」とは、問題の核心に迫り、共に決定的な前進を遂げることを意味します。全員の支持を得ようとせず、最も重要な味方を見極め、強く誠実な関係を築き、共通の目標に向かって進みましょう。このパートナーシップは称賛され、大きな成功を収めます。
金銭・財務において
財務面での不安や過去の判断への後悔の時期を経て、明確さが訪れます。成功の鍵は信頼できるパートナーシップか、核心を突く重要な情報にあります。信頼できるファイナンシャルアドバイザーやビジネスパートナーを見つけるか、投資の本質的価値を見抜く深い洞察を得ることが考えられます。「柔らかな肉を噛み切る」とは、表面的な雑音や市場の動向に惑わされず、核心を見極めた上で決断を下すことです。この明確さと信頼できる味方を得たら、自信を持って行動してください。あなたの取り組みは成功し、悪影響はありません。