37番卦、五爻
家人(かじん)
九五:王假有家
爻辞
九五:王假有家,勿恤,吉。
九五の爻辞:王が家に寄り添う。心配無用、吉祥なり。
解説曰く:「王が家に寄り添う」とは、互いに愛し合い結ばれていることを示す。
解釈
この五爻は、家や組織の中で最も中心的かつ強力な立場を示します。ここでの「王」とは実際の君主ではなく、家庭や集団のリーダーを象徴しています。このリーダーは権力や命令、恐怖によって支配するのではなく、誠実な人柄と真心によって人々を惹きつけます。「王が家に寄り添う」(王假有家)とは、リーダーが真摯に存在し、誠実さ・責任感・温かさを体現していることを意味します。その影響力は深く慈愛に満ちており、自然と調和と秩序を生み出します。だからこそ「心配無用」(勿恤)であり、集団の基盤は脆弱な支配ではなく、深い相互信頼と愛情に支えられているのです。この心からの秩序こそが、最高の「吉祥」(吉)をもたらします。解説もまた、核心は「互いに愛し合うこと」(交相愛也)であり、尊敬と配慮の循環が集団を結びつけると述べています。
行動への指針
影響力のある立場にあるなら、命令を出すよりも、自らが望む価値観を体現することが最も効果的です。誠実さ、正直さ、そして周囲の人々の幸福を心から願う姿勢で導きましょう。あなたの人柄こそが最強の武器です。ポジティブな模範を信じて、調和と生産性に満ちた環境を築いてください。細かく管理したり結果を心配したりする必要はありません。信頼と相互尊重の土台があれば、物事は自然と整います。あなたの役割は、安定し愛情深い中心として、善意と秩序を広げることです。
恋愛・人間関係において
この爻は恋愛や人間関係において非常に吉兆です。相互の愛情、尊敬、深い信頼に基づくパートナーシップを示しています。あなたや相手(あるいは双方)が「王」の役割を担い、安定・安心・無条件の愛を提供しています。不安や嫉妬、支配ではなく、心からのつながりが関係を支えています。将来への心配は不要です。共有する愛を信じてください。独身の方は、この「王」の資質、すなわち愛情深さと自己尊重を内面に育むことで、ふさわしいパートナーを自然に引き寄せるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
仕事の場面では、この爻は理想的なリーダーシップを示します。管理職やリーダーであれば、心と誠実さをもって導くことが求められます。チームの忠誠心や生産性は、恐怖や圧力ではなく、尊敬と信頼から生まれます。家族のように支え合う職場文化を築きましょう。従業員であれば、そのようなリーダーのもとで働けることは幸運です。いずれの場合も、誠実さを持って行動し、同僚を信頼することが成功と調和の鍵です。職場の駆け引きに悩む必要はなく、本物の貢献と真のつながりを大切にしてください。
金銭面において
この爻は、知恵と責任感に基づく安定した財政状態を示しています。あなたは自分の財政領域の「王」です。恐れや欲に流されず、先見の明と誠実さをもって資源を管理しているため、財政は整っています。将来の金銭面での不安はありません。確かな原則と仕組みを信頼してください。これは、家計の健全な管理、成功した家業、安定した投資ポートフォリオなどの形で現れるでしょう。示される吉祥は一時的な臨時収入ではなく、継続的で賢明な管理によって得られる正当な繁栄です。