卦3、初九
始めの困難(屯)
初九
爻辞
初九,磐桓,利居貞,利建侯。
初九:ためらいと障害がある。堅実に耐え忍ぶことが吉。助けを得ることも吉。
解説曰く:ためらいはあっても志は正しい。貴人が謙虚に接することで民衆の大きな支持を得る。
解釈
この爻は「始めの困難」の卦の最初の一歩を表しています。新しいことを始める瞬間で、硬い岩盤を突き破ろうとする芽のイメージです。「磐桓」とは大きな岩に阻まれたり、障害の周りを回ったりする様子を示し、ためらいや遅滞、障害の状態を意味します。大きな可能性がある一方で、非常に困難な時期でもあります。無理に突き進むのではなく、まず「利居貞」、つまり堅実に耐え忍び、核心を見失わずにいることが大切です。これは焦らず地盤を固める時期です。次に「利建侯」、助けを得ることが有益であると示しています。一人で困難を乗り越えるのは難しいため、志を同じくする仲間や指導者、協力者を積極的に求めるべきです。解説では、この爻が下位の陽爻であることから、有能な人物が謙虚に振る舞うことの重要性を説いています。傲慢にならず、他者と真摯に関わることで、混乱を乗り越え、将来の基盤を築くための支持を得られるのです。
行動への指針
新しい挑戦の始まりですが、進展が滞っている状態です。大きな障害に阻まれているように感じても、焦らず無理に押し進めないでください。無理をすると疲弊し、失敗に繋がります。今は一旦立ち止まり、基盤を固める時期です。長期的なビジョンと信念をしっかり持ち、この混乱の中での支えとしてください。この遅れを戦略的に活用し、一人で突き進むのではなく、チームや支援体制を築くことに注力しましょう。協力者を見つけ、経験豊かな指導者に相談し、人脈を広げることが成功の鍵です。謙虚さと協調性が、後の成功の土台となります。今の停滞は失敗ではなく、力と支援を蓄えるための必要な段階です。
恋愛・人間関係において
新しい恋愛関係にある場合、この爻は「停滞期」を示しています。初期の困難や誤解、距離や家族の反対、タイミングの問題など外的な障害があるかもしれません。急いで関係を進展させたり、まだ築かれていない親密さを無理に求めたりしないことが大切です。忍耐強く、誠実な気持ちを保ち、信頼と理解の基盤を築きましょう。特に「助けを得る」こと、つまりお互いに支え合い、困難を共に乗り越えるパートナーとしての関係を育むことが重要です。恋愛を求めている人は、焦らず待つ時期です。無理に縁を求めるのではなく、自分磨きや人間関係のネットワーク作りに努めることで、適切な時期に良い出会いが訪れるでしょう。
仕事・ビジネスにおいて
新しい仕事やプロジェクト、ビジネスを始めたばかりで、早くも壁にぶつかっている状態です。官僚的な手続き、資源不足、協力的でない同僚、急な学習曲線などが原因かもしれません。前に進めないと感じても、一人で無理に突破しようとしたり、愚痴をこぼしたりするのは最悪の選択です。正しい戦略は忍耐強く粘り強く取り組むことです。仕事に真摯に向き合い、プロとしての基準を守り、決意を示しましょう。同時に、関係構築に力を入れることが不可欠です。仲間を知り、メンターを見つけ、助言を求め、組織内で支援のネットワークを築くことが突破口となります。謙虚に学び、協力的な環境を作ることが、初期の困難を乗り越える鍵です。
金銭面において
新しい資金計画や投資、ビジネスを始めたものの、期待した即効性のある成果が見られず、進展が停滞している状態です。予期せぬ費用や収入の遅れがあるかもしれません。この爻は慌てて資産を売却したり、計画を途中で投げ出したりしないよう強く戒めています。長期的な戦略を守り、財務の規律を維持することが「堅実に耐え忍ぶ」ことです。今できる最も建設的な行動は「助けを得る」ことです。ファイナンシャルアドバイザーに相談したり、ビジネスパートナーと話し合ったり、家計の管理を配偶者と協力して行うのに最適な時期です。専門家の助言と支援を得ることで、この困難な初期段階を乗り切り、安定した財政基盤を築くことができます。