第29卦 上六
坎為水(かんいすい)
繫用徽纆
爻辞
繫用徽纆,寘于叢棘,三歲不得,凶。
黒い紐と縄で縛られ、茨の茂みの中に閉じ込められる。三年もの間、抜け出せず、凶となる。
解説によれば:上六は正しい道を失っており、三年にわたる凶運を示す。
解釈
この上六は、29番目の卦が示す危険の極致を表しています。坎の教えである「誠実さと柔軟性をもって危険を乗り越える」という水のような流れに従うことを学ばず、むしろ抵抗し、もつれ込んでしまった状態です。強く縛られ、茨の牢獄に閉じ込められた様子は、外部の監獄ではなく、自らの誤った行動や硬直した思考によって作り出されたものです。解説は明確に「正しい道を失った(失道)」と述べています。危険の流れに逆らうことで、抜け出せない深い罠に陥ってしまいました。「三年」は長く終わりの見えない停滞期間の象徴です。判断は断固たる「凶」であり、近い将来に脱出は困難な深刻な困難と停滞を示します。この爻は、過度な抵抗や誠実さと単純さの道から外れることへの強い警告です。
行動への指針
あなたは深く絡まり合い、自ら招いた困難な状況にあります。抵抗すればするほど、縄はより強く締まり、茨はさらに深く刺さります。今のやり方は失敗しており、道を見失っています。まず最も重要なのは、闘うのをやめることです。必死に逃れようとしたり、状況を「修正」しようとするのは逆効果です。今は行動の時ではなく、徹底的な受容と静寂の時です。抵抗せずに現状を受け入れましょう。この「囚われ」の期間は長く厳しいものです。出口を探すのではなく、内省に努めてください。どこで誠実さと単純さの道を見失ったのか?どの行動がこのもつれを招いたのか?忍耐が唯一の武器です。この期間を耐え、厳しい教訓を学び、状況が自然に収束するのを待つべきです。無理に解決しようとすれば、さらなる凶を招きます。
恋愛・人間関係について
この爻は、痛みを伴う閉塞した関係を示しています。絡まり合い、未解決の対立や重い義務感(縄や茨)が関係を縛っています。双方が争い、責任転嫁し、抵抗し合うパターンに陥り、状況は悪化の一途をたどっています。愛や誠実さ、率直なコミュニケーションの道を見失っています。関係は絶望的に感じられ、修復の試みはさらなる苦痛を生みます。ここでの助言は明快です:争いをやめなさい。深く絡まった関係を無理に維持しようとすれば、苦しみが長引くだけです。長期的な別離や、関係の終焉を受け入れる痛みが必要かもしれません。三年という期間は、集中的なカウンセリングでも成功が保証されない長い癒しの時間を示唆しています。
仕事・ビジネスについて
仕事の面では、行き詰まりの職場、失敗したプロジェクト、あるいは有害な職場環境に完全に囚われていることを示します。誤った判断を重ねたり、失敗が明らかな戦略を長期間続けてしまい、その結果に絡め取られています。状況を立て直そうとする努力は無駄で、かえって事態を悪化させるだけです。これは職業的な危機の時期です。新たな取り組みを始めたり、社内の政治的な争いに巻き込まれたり、無理にプロジェクトを成功させようとするのは避けてください。失敗を受け入れることが必要です。プロジェクトの中止、解雇、事業の失敗などが起こるかもしれません。「三年の凶」は長期にわたる職業的困難や停滞、失業の可能性を示しています。この期間を利用して、キャリア全体を見直し、どこで誤ったのかを理解しましょう。
金銭面について
金銭面では深刻な警告です。多額の借金、破滅的な投資、あるいは法的・財務的な絡まりに陥っています。借金を返すためにさらに借り入れをしたり、損失を取り戻そうとリスクの高い投資を繰り返す試みは失敗し、罠をさらに強固にしています。健全な財務原則の道を見失っています。状況は厳しく、長期間にわたる凶運が予想されます。慌てて資金を動かすのはやめ、損失を受け入れる覚悟が必要です。破産申請、資産の損切り、長期にわたる厳しい返済計画など、痛みを伴うが避けられない措置を取ることになるでしょう。即効性のある解決策はなく、長い苦難の期間を耐え忍びながら少しずつ絡まりを解いていくしかありません。