第24卦 六三爻
復(ふく)
六三:頻復
爻辞
六三:頻復,厲,无咎。
六三爻(陰爻):頻繁に戻る。危険だが、咎められない。
解説によれば:頻繁に戻ることの危険性はあるが、基本的には咎められることはない。
解釈
この爻は、迷いと不安定さを表しています。「復(戻る)」とは一度きりの決定的な行動ではなく、繰り返し揺れ動く過程を指します。本人は正しい道に戻ろうと努力していますが、強い意志や一貫性に欠け、何度も前進と後退を繰り返します。古い習慣や考え方に戻ってしまいながらも、再び戻ろうとするのです。陰爻が陽の位置にあることは、内面の弱さや決断力の不足を示しています。「厲(危険)」は厳しい警告であり、この不安定な繰り返しは疲弊や信用の失墜、進展の停滞を招きかねません。しかし「无咎(咎めなし)」とあるのは、根本的な意図が正しいためです。易経は深い変化の難しさを認め、誠実な努力には寛容です。復を求める義(正義)は正しいものであり、実行が不完全でも評価されます。これは試練の時期であり、何度失敗してもあきらめずに続けることが求められています。
行動への指針
自分が試行錯誤の繰り返しの中にいることを認めましょう。自分を責めるのではなく、しかし甘んじることも避けてください。状況は危険であり、全力で注意を払う必要があります。まずは決意を強め、一貫性を持つことが重要です。道を外れる原因や弱点を見極め、失敗から何がうまくいかないかを学びましょう。善意だけでは持続的な変化は生まれません。自己管理と揺るぎない覚悟でパターンを断ち切る努力が必要です。核心となる価値観に戻る努力を続けることで、困難ながらも徐々に成功に必要な人格が形成されていきます。
恋愛・人間関係において
この爻は、恋愛関係における「繰り返す別れと復縁」や、同じ問題が何度も起こる状況を示します。一方が何度も過ちを犯し、誠実に謝罪してはまた同じことを繰り返すパターンかもしれません。愛情や一緒にいたい気持ちは本物で「咎めなし」ですが、不安定さが感情の混乱や信頼の揺らぎを生んでいます。「危険」とされるこの繰り返しは双方にとって疲弊をもたらします。前に進むためには、揺れの根本原因に正面から向き合い、単なるその場しのぎの修復ではなく、率直な話し合いでパターンを断ち切る必要があります。
仕事・ビジネスにおいて
この爻は、仕事やビジネスでの迷いを示しています。プロジェクトを始めては困難に直面し、中断し、再開することを繰り返しているかもしれません。または、キャリアや戦略の選択に迷い、一つに決めきれずにいる状態です。この頻繁な方向転換は危険で、時間や資源の浪費、信頼の損失につながります。しかし、努力は正しい道を見つけようとする真摯なものであり、咎められません。ここでの助言は、まず一歩引いて状況を冷静に分析し、確固たる決断を下すことです。決めた道を自己管理をもって貫き、問題が起きたからといってすぐに迷い直すことを避けましょう。
金銭面において
金銭面では、不安定さと自己管理の甘さを示します。貯蓄を始めては使い込む、予算を立てては守れず必要に迫られてまた立て直す、という繰り返しのサイクルに陥っているかもしれません。このパターンは危険で、実質的な資産形成や経済的安定を妨げます。「咎めなし」とあるのは、何をすべきかは理解しており、誠実に努力しているからです。しかし断続的な努力では不十分です。貯蓄の自動化や明確で現実的な目標設定、自己管理の徹底を図りましょう。頻繁で弱い試みを、強く一貫した習慣へと変えることが鍵です。