第21卦 六三爻
噬嗑(しこう)
六三:噬臘肉
爻辞
六三:噬臘肉,遇毒。小吝,无咎。
六三爻:噛みしめるのは古く乾いた肉。毒に遭遇する。小さな困難はあるが、咎められることはない。
解説曰く:「毒に遭う」とは、その立場が適切でないことを示す。
解釈
この爻は、長く根深い問題に直面していることを象徴しています。「古く乾いた肉」とは、新鮮ではなく複雑で頑固な問題を指し、解決には多大な努力が必要です。その過程で予期せぬ抵抗や苦味、否定的な反応、すなわち「毒」に遭遇します。この挫折は落胆を招き、「小さな困難」や後悔の念を感じさせるかもしれません。解説が示すように、問題に対処する立場が「適切でない」ために困難が生じています。つまり、必要な権限や力、地位が不足している状態であり、陰の力が陽の行動を求められる場面です。不快な状況や挫折があっても、「咎められない」と結ばれているのは、問題解決の努力自体が正しく必要なものであるためです。たとえ結果が一時的に苦しくとも、その行動は誤りではありません。
行動への指針
古く困難な問題の解決に取り組む際は、先行きの困難を十分に認識して進むべきです。すぐに解決できるとは期待せず、抵抗や反発、隠れた複雑さに備えましょう。この「毒」が現れたとき、落胆したり個人的な失敗と捉えたりしないことが重要です。これは立場の不利さから生じる挑戦の一部に過ぎません。あなたの役割は華々しい英雄ではなく、粘り強い問題解決者です。自分の限界を認め、謙虚に行動し、小さな挫折を進歩の代償として受け入れましょう。この不快な局面を乗り越えることが必要であり、正しいことを行うための苦労に対して責められることはありません。
恋愛・人間関係において
この爻は、関係の中で長年放置されてきた問題に向き合う必要性を示しています。古い傷や繰り返される争い、根深い不一致などがそれにあたります。これを取り上げることは、硬くて噛み切りにくい「古い肉」を噛むような感覚です。解決を試みる過程で、苦々しい感情や恨み、痛みを伴う記憶が呼び起こされるでしょう。話し合いは困難になり、あなたや相手が多少の「恥辱」や苦痛を感じるかもしれません。しかし易経は、この過程がどんなに辛くても必要であり、責められることはないと教えています。関係を前進させるには、この難題を噛み砕くことが不可欠です。強い立場にない場合は、慎重かつ謙虚な態度で臨むことが求められます。
仕事・ビジネスにおいて
職場では、根深い問題に取り組む局面にあります。古い制度の見直しや、毒性のあるチームの人間関係、前任者から引き継いだ難しいプロジェクトなどが考えられます。変革を始めると、予想外の抵抗や社内政治に直面し、問題が想像以上に深刻であることが判明することもあります(「毒に遭う」)。これにより一時的に挫折感や無力感、恥ずかしさを感じるかもしれません。これは、十分な権限や支援がないために変化を円滑に進められないからです。ここでの助言は、あきらめずに粘り強く取り組むことです。課題は必要なものであり、困難に直面しても努力は正しいのです。「小さな困難」に屈せず、状況の難しさに責任を感じる必要はありません。
金銭・財務において
長年の借金や複雑な相続問題、過去の不調な投資など、複雑で古い財務問題の整理に取り組んでいます。詳細を調べるうちに、隠れた手数料や予想以上の損失、法的な問題が明らかになることがあります。この「毒」は落胆をもたらし、小さな金銭的損失や愚かさを感じることもあるでしょう(「小さな困難」)。しかし易経は、この混乱を整理しようとする努力は正しいと認めています。痛みを伴う清算作業ですが、問題の困難さ自体に責任はなく、秩序を取り戻そうとするあなたの行動が重要です。辛い過程を耐え忍び、長期的な財務の明瞭さを目指しましょう。