卦19、五爻
臨(りん)
六五
爻辞
六五、知臨、大君之宜、吉。
六五の爻:知恵をもって臨む。これは偉大な君主にふさわしい。吉。
解説曰く:「大君之宜」とは、中心に立ち、バランスを保った行動を指す。
解釈
この爻は、卦19の中で慈悲深く有能な指導者の頂点を表しています。五爻は支配者、すなわち権威の中心的存在の位置です。ここでの陰爻は一見支配者には不向きに思えますが、実際には弱さではなく、深い知恵、謙虚さ、そして受容力を示しています。「知臨」とは、力や自己中心的な管理ではなく、賢明な接近を意味します。この指導者は全体の状況を理解し、有能な部下(象徴的に二爻の陽爻)を信頼し、適切に責任を委ねます。細部に干渉する必要はなく、知恵によって正しい環境を整え、適切な人材を活かすのです。これこそが「大君」と呼ばれる真の指導者の姿であり、命令や統制ではなく、影響力と洞察力によって統治します。解説は、この知恵が「中心でバランスの取れた立場」から生まれると強調しており、極端に偏らず、公正かつ節度をもって必要なことを見極めて行動することを意味します。この爻は間違いなく吉兆であり、啓発された指導による成功と良い結果を約束します。
行動への指針
あなたは影響力と責任を持つ立場にあるか、そうした役割を求められています。今、最も重要なのは力や全てをコントロールする能力ではなく、知恵と判断力です。直感と全体像の理解を信じてください。信頼できる有能な人に仕事を任せ、細かく管理しようとする誘惑を避けましょう。模範を示し、育成の場を作り、穏やかな手腕で導くことが大切です。他者の助言に耳を傾け、フィードバックを受け入れてください。成功は、明確に見通し、バランスを保ち、周囲を力づける能力にかかっています。家庭や地域、職場など、どの場面でも賢明で慈悲深いリーダーとなる時です。
恋愛・人間関係において
この爻は、深い信頼、知恵、相互尊重の関係性を示します。どちらか一方、あるいは双方が成熟した理解をもって相手のニーズに応じています。権力争いや嫉妬、支配は不要な時期です。むしろ、パートナーに自由と信頼を与え、管理しなくても絆が強く育つことを知るべきです。関係の中でリーダーシップを取る場合(例えば重要な決定をする際)は、共感と知恵をもって相手の視点を十分に考慮してください。独身の方には、焦りや固定観念にとらわれず、知恵をもって新たな出会いに臨むことを勧めます。内面のバランスと理解から真のつながりが生まれます。
仕事・ビジネスにおいて
リーダーや管理職、上級職にある方にとって非常に良い爻です。成功は戦略的な俯瞰力と、有能なチームを育てる力にかかっています。重要な仕事は最も信頼できる人(「二爻」)に任せ、彼らの能力を信じましょう。あなたはビジョンや戦略、良好な企業文化の醸成に注力すべきです。細かいことに直接介入するよりも、知恵を活かすことが価値を生みます。管理職でない場合でも、成熟した判断力と知恵が評価され、より大きな責任を任されるでしょう。誠実に行動し、洞察に満ちた意見を提供すれば、昇進や幸運をもたらします。
金銭面において
この爻は優れた財務判断の時期を示します。成功はリスクの高い投機や短期売買ではなく、賢明で長期的な戦略から生まれます。財務状況を俯瞰的に把握しているため、信頼できるファイナンシャルアドバイザーに任せるか、十分に調査されたバランスの取れた投資計画を実行するのに最適な時期です。市場の過熱や恐怖に基づく感情的な判断は避けましょう。冷静で落ち着いた知識に裏打ちされたアプローチが資産を守り、増やします。長期的なビジョンを信じ、資源を賢く管理することで安定と吉報が期待できます。